本記事では、「もしかしてうちの子、発達障害……?」と考える保護者の方に向けて、発達外来について詳しく解説。
対象者や検査内容、正しい診断のために親ができることなどをご紹介していきます。
この記事を読めば、発達外来について理解を深めることができます。ぜひ最後まで参考にご覧ください。
目次
発達障害はどうやって診断されるの?
まず、発達外来のことを知る前に、そもそも発達障害はどのような機関で診断が行われるのかを知っていきましょう。
診断が行えるのは「医療機関のみ」
発達障害の診断が行えるのは「医療機関(医師)」のみです。
発達支援センター、発達支援(療育)といった施設のなかには、独自に検査を行うところもありますが、それはあくまで発達障害の程度や傾向を見るもの。発達障害を断定するものではありません。
子どもが発達障害かどうかをはっきりさせるためには、必ず医療機関を受診する必要があります。
小児科?精神科?子供の発達障害は何科を受診すべきか
子どもの発達障害の診断を行っているのは、主に次の科となります。
・小児科
・児童精神科
・児童神経科
・発達外来
大学病院や総合病院など、大きな病院で受診する場合、紹介状を求められることがあります。スムーズに受診できるように、かかりつけの医師に事前に相談しておくといいでしょう。
大人の発達障害は「心療内科」or「精神科」
ちなみに大人の場合は、「心療内科」や「精神科」で受診可能です。
しかし、「大人の発達障害」の概念自体、世の中に認識されはじめてまだ数十年。医療機関によってはそもそも発達障害を診療対象にしていないこともあります。電話等で、事前に確認してから受診することをおすすめします◎
発達外来とは
発達外来とは、発達の遅れや気になる点がある子どもに対し、専門医が検査や診断、カウンセリング、治療などを行う発達障害に特化した専門外来です。
一般的に小児科に併設されることが多く、臨床心理士、公認心理士、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)などの専門家と連携しながら主に小児科医が診断を行います。
ただし、体制は医療機関によりさまざまです。なるべく上記の資格を持つ専門家がいた方が検査や診断がスムーズに行われやすいので、受診先を決定するときは事前に確認しておくことをおすすめします。
対象は?赤ちゃんでも受診できるの?
発達外来の対象となるのは主に子ども。
「未就学児〜小学生まで」「〜中学生まで」など、医療機関により対象としている子どもの年齢は異なりますが、基本的に赤ちゃん(0歳〜)でも受診可能です。
ただし、子どもの年齢や発達段階によっては診断が難しくなるケースもあります。
発達障害(ASD・ADHD・LD)の症状に気づきやすい時期や、診断されやすい年齢を参考にしながら、受診するタイミングを検討するといいでしょう。
自閉症スペクトラム症 (ASD) | 注意欠陥多動性障害 (ADHD) | 学習障害 (LD) | |
症状に気づきやすい時期 | 0歳〜 | 3歳〜 | 6歳〜 |
診断されやすい年齢 | 3歳までに | 12歳までに | 〜大人 |
初診は予約から「2〜3ヶ月先」を想定しておくと◎
発達外来は、昨今の需要の高まりからどの医療機関も非常に混雑しています。
診療可能な日時が一般の外来に比べてかなり限られているということも要因なのですが、予約は問い合わせた時点から「2〜3ヶ月先」になることも珍しくありません。
今回調べているなかで、6ヶ月待ちという医療機関も見かけました。予約の際は、スケジュールに余裕を持っておくことをおすすめします。
どのような検査をするのか
では、実際に発達外来に行ったらどのような検査が行われるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
一般的な診断までの流れ
診断までの流れは医療機関によってさまざまですが、一般的には次の流れで診断が行われます。
①初診 | 予約のうえ、子どもと一緒に医療機関へ |
②問診 | ヒアリング(聞き取り)が行われる |
③発達検査 | 必要な発達検査を受ける※初診とは別日になることも |
④オプション検査 | 必要に応じて、知的検査や脳波検査、個別面談なども行う |
⑤診断結果の説明 | 診断名や今後の方針の説明を受ける 必要に応じて、家族や学校へ向けてのレポートも作成してもらえる |
⑥診断後のガイダンス | 支援施設の紹介など |
発達外来は、発達障害と診断された子どもがその後適切な支援が受けられるように、行政や学校などと連携を図り子どもの困りごとに対応してくれたり、療育などの支援施設を紹介してくれたりなど、診断後のサポート機能も兼ね備えているのが特徴です。
初診では何を聞かれるの?
初診では、主に保護者に向けてヒアリングが行われます。
子どもの幼少の頃から現在に至るまでの様子や困りごと、生育歴、既往歴など、こと細かく聞かれます。
保育園や幼稚園、学校に通っている子どもであれば、自宅以外に関することも聞かれますので、受診前に関係者から話を聞いておくといいでしょう◎
また、初診では「いつごろ歩き出した?」「人見知りはいつぐらいから始まった?」「二語分はいつごろ出た?」など、症状が現れ始めた時期も含めて詳細にヒアリングされます。
当日焦らないためにも、発育に関することや気になる行動は日頃から詳細にメモに残しておくことをおすすめします。
初診に持っていくといいもの
初診時の持ち物は、医療機関により指定される場合もありますが、主に、次のものを準備しておくとヒアリングにも落ち着いて対応できます。
- 母子手帳
- 子どもの普段の様子が分かるメモ
- 園や学校での様子が分かるもの(個人面談のメモ・通知表など)
- かかりつけ医師による紹介状(必要に応じて)
もちろん、保険証や医療証なども忘れずに!
発達検査の種類
発達障害は、さまざまな検査が行われ総合的に判断されますが、そのなかでも判断材料として大きなウェイトを占めているのが「発達検査」です。
しかし、発達検査とひと口でいっても、以下のようにさまざまな種類が存在し、それぞれ役割が異なります。
・新版K式発達検査
・乳幼児精神発達診断法
・日本版Bayley-III乳幼児検査
・ブラゼルトン新生児行動評価法
・日本版デンバー式発達スクリーニング検査
などなど……。
これらの検査のなかには、積み木などの身近な玩具を使って検査するものもあれば、保護者と面接官で1対1のスタイルで検査をするものもあります。
医療機関や担当の医師によってどの検査を行うかはその都度判断されます。事前にどのような検査が行われるのか知りたい方は、事前に問い合わせてみるのもいいでしょう。
正しい診断に繋げるために
最後に、発達障害の「診断の難しさ」についてお話しておきましょう。
発達障害の原因は、生まれつきの脳の機能障害とされていますが、研究段階のことも多く明確な原因やメカニズムは未だ解明されていません。
特性の現れ方も障害の強弱も人それぞれ。「この症状があるから、発達障害です」と言える明確な診断基準もなく、発達障害のように見える他の疾患の可能性も模索しなければいけません。
そのため、医師が診断に悩まされるケースも多々発生します。
発達外来を受診する際は、保護者自身があらかじめ発達障害のことをよく学んでおくことはもちろん、問診時にできるだけ正確な情報を伝えるなど、「診断の難しさ」を理解したうえで、医師が正しい診断を行えるように協力的な姿勢をとることが大切です。
また、診断内容に納得できない場合は、セカンドオピニオンを受けるのも良いでしょう。違う医師の視点を取り入れることで、より子どもの特性について理解を深めることができ、診断結果にも確信を持てるようになります。
以下、ポイントをまとめました。
正しい診断に繋げるための「4つのポイント」
①そもそも発達障害は診断が難しいことを理解する
②保護者自身、発達障害の特性をあらかじめ理解しておく
③医師にできるだけ正確な情報を伝える
④セカンドオピニオンを受ける
「たんとある」では、受診前のご相談もお受けします。
もし発達外来に行くべきか悩まれている方がいらっしゃいましたら、「たんとある」にご相談ください。
「たんとある」は、可児市にある放課後等デイサービス。主に、発達障害の小学生〜高校生の将来の自立や就労を支援する取り組みを行っています。
「発達外来に行く前に、誰かに相談したい」
「発達障害のことをよく知りたい!」
このような方はぜひお気軽にお問合せください。
また、「放課後等デイサービスってどんなところ?」とご興味のある方も、無料で見学会も行っておりますので、そちらもぜひご活用ください。