発達障害の子どもの社会性や対人スキルの向上のために、発達支援の場でもよく取り入れられているソーシャルスキルトレーニング(SST)。
この訓練を受けると、苦手な対人関係や集団生活に上手く順応する方法を身につけることができるので、子どもの社会性が気になる保護者の方は注目していただきたい支援のひとつです。
そこで、本記事ではソーシャルスキルトレーニングについて詳しく解説。次のようなことをご紹介していきます。
・目的や対象者
・トレーニングの進め方
・使われている教材の例
本記事を読めば、ソーシャルスキルトレーニングについて理解を深めることができると共に、トレーニングを受けることで得られるメリットも分かります。ぜひ参考にご覧ください。
目次
ソーシャルスキルトレーニング(STT)の意味や概要
ソーシャルスキルトレーニング(Social Skills Training)とは、社会生活技能訓練と訳され、対人関係や社会生活を円滑に営むために必要なスキルを学ぶ訓練のことをいいます。
ソーシャルスキルという言葉自体が聞きなれない方も多いかと思いますが、簡単にいうと、人と人が関わりあいながら生きていくうえで必要な能力のことです。
例えば、対人関係を築くにあたって「いつも自分の意見ばかりを主張する」「思う通りにならないとすぐ怒る」人がいたらどうでしょう。
大半の人が相手に対し嫌悪感を感じ、距離を取ろうとするのではないでしょうか?
そういった対人関係で起こりうるさまざまなシーンを想定し「どのように振る舞えばいいのか」を学ぶのが、ソーシャルスキルトレーニングです。
目的は?
ソーシャルスキルトレーニング(以下、SST)の根本的な目的は「社会生活を送りやすくすること」です。
ソーシャルスキルは、そもそも先天的に備わった能力ではありません。
多くの人は、成長過程でさまざまな対人関係を経験し、失敗を繰り返しながら「こうすれば上手くいく」「こうしてはダメ」ということを学び、社会性や対人スキルを身につけていきます。
ところが、発達障害の子どもたちはそうもいきません。
障害の特性により、社会や対人関係における暗黙のルールを理解することが困難なため、集団のなかで過ごしていると、ついつい不適切な言動をしてしまったり、場にそぐわない行動を起こしてしまいやすいのです。
SSTではそのような子どもに対し、自分なりの方法でより良いコミュニケーションが取れるように支援を行います。
対象者は?
SSTの対象者は「対人関係が苦手な人全般」です。
良好な対人関係を築くには相手の気持ちに配慮し、ときには自分の気持ちを制御しなければいけませんが、発達障害の子どもはこういった一連の行動を苦手とします。
そのため、次のような特性を併せ持つ発達障害の子どもは、積極的にSSTを受けるべきです。
【SSTを必要とする発達障害の子どもの特性】
・相手の気持ちを察するのが苦手
・コミュニケーションの暗黙のルールが理解できない
・感情のコントロールが苦手
・行動が衝動的
・文脈に関係ない話を唐突にはじめる
大人になっても受けられるの?
SSTは、大人でも受けることができます。
最近では、研修の一環で職場でも取り入れられることもありますが、精神科のデイケアや就労移行支援事業所、地域活動支援センター、就労・生活支援センターなどで行われることもあります。
受けてみたい方は、直接問い合わせてみるといいでしょう。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)の進め方
では、実際にSSTはどのように行われるのでしょうか?基本的な流れをご紹介していきます。
①ウォーミングアップ | 子どもたちの緊張をほぐすために、コミュニケーションの練習になるような楽しめるゲームからスタート! |
②課題決定 | どのような言動ができるようになりたいか、練習する課題を決める。もしくは、講師があらかじめ課題を決めておき、そのスキルが身についているとどのような効果があるのかを教示する。 |
③行動リハーサル | 場面を設定し、実際にロールプレイしてみる。 |
④フィードバッグ | ロールプレイを振り返り、良かったところを褒めさらに良くする点を考える。 |
⑤もう一度行動リハーサル | ④のフィードバックを受けて、もう一度練習する。 |
⑥フィードバッグ | 良くなった点を褒める。実際の場面でも実践するように促す。 |
⑦実際の場面で実践 | 日常生活のなかで実際にやってみる。 |
SSTで学んだことは、いかに実際の生活で使えるかが大切です。想定した課題と全く同じ場面となることは少ないですが、訓練をきっかけに日常生活でさまざまな方法を試すようになるので、新たな課題の発見にも繋げることができます。
そのため、2回目以降のSSTでは「前回の課題の振り返り」から始められます。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)の具体的な例
SSTにはさまざまな手法がありますが、そのなかでも子ども向けに使われることの多い手法をいくつか紹介します。
ロールプレイ
ロールプレイとは、何人かで役になりきりある特定の場面を演じること。日常生活で起こりうるさまざまな困難なシーンを想定し、適切な言動の練習をすることができます。
ディスカッション
ディスカッションは、相手の意見をしっかり聞くことと、自分の意見を述べることを練習するのに最適な方法です。言葉のキャッチボールを学ぶことができます。
共同の遊びやゲーム
子どもたちが熱中しやすい遊びやゲームを使って、共同行動の場を作ります。これにより「相談」「助け合い」「協力」といった社会生活に必要なスキルを自然と学んでいきます。
どんな教材があるの?教材は必要なの?
発達障害の子どものなかには、自分の感情を言葉にすることが苦手な子どももいます。そのため、SSTの課題によっては教材を使ってトレーニングを進めていくこともあります。
実際にSSTで使われる教材にはどのようなものがあるのか、簡単にご紹介します。
ワークブック(学年別に豊富にラインナップ)
まずは、ワークブックについて。厚生労働省でも発達障害専門プログラムとしてワークブックが一般公開されていますが、市販でも売られています。幼児編から思春期まで幅広くラインナップしているので、成長に合わせて活用することができます。
▼厚生労働省が公開しているワークブックはこちら
▼市販のワークブックはこちら
絵カード・感情チップ(幼児におすすめ)
発達障害の子どもは、耳よりも目からの情報の方が認識しやすいといった特性を持っています。そのため、絵カードや感情チップといった教材を使って、適切な行動を示したり、相手がどんな気持ちになるのかを教えたりしていきます。
アプリ(小学生以上におすすめ)
SSTは成果が出るまでにある程度時間を要するため、授業のマンネリを防ぐためにもアプリが導入されることがあります。子どもの特性に合わせたメニューができるだけでなく、講師がいなくても好きなタイミングで気軽にトレーニングを積むことができるので、ご家庭内で取り組んでいただくのもおすすめです。
例えば次のようなアプリがあります。
市販のゲーム(中学生以降におすすめ)
SSTは子どもたちが参加しやすく、楽しみながら学べる環境作りが大切。そのため、ボードゲームやカードゲームなども積極的に使われます。ゲームは「ルールを守る」「協力する」「感情のコントロール」などの習得に最適です。
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いかがだったでしょうか?ソーシャルスキルトレーニング(SST)について理解を深めることができましたか?
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