「発達障害を持った子どもには遊びを上手く取り入れて発達を促すことが大切!」とよく聞きますが、いったい療育ではどのような遊びが取り入れられているのでしょうか?
本記事では、発達障害の子どもの発達に良い「遊びのアイデア」をご紹介するとともに、その効果まで解説していきます。
子どもの発達に遊びが良いといわれる理由や、遊びを取り入れる際に気をつけたい大人の行動についても合わせてご紹介していきますので、ぜひ参考にご覧ください!
目次
そもそも療育とは?
療育とは、障害のあるもしくはその可能性のある子どもに向けて、社会で自立して生きて行けるように発達支援を行う取り組みのことをいいます。
子どもの発達において気になる点がある場合、いつかできるようになるだろうと、温かく見守っていればいいとはいえません。
周りの大人が、早くから子どもが困難とすることに気づき、それに対し適切にサポートをすることで、社会に適応していく力を育てることが必要です。
しかし、子どもの発達が気になりつつも、何をしてあげたらいいのか分からないという保護者の方も多いのではないでしょうか?
そんな子どもと親を支援するのが「療育」です。
療育は専門知識を持った指導員が、子ども一人ひとりの発達スピードに合わせたカリキュラムを作成し、集団・個別を使い分けながら適切に発達支援を行っていきます。
子どもの発達に「遊び」が大切といわれる理由
支援と聞くと「何か特別な訓練をするの?」と想像される方もいるかもしれません。
しかし、実際療育の現場を覗いてみると、訓練らしいことをしている様子はありません。好きな玩具で遊んだり、体を動かしたり、集団でゲームをしたり……。ただただ子どもが楽しそうに日常を送っているのです。
「え?療育って遊びにいくところなの?」と思った方は、安心してください。療育は、あえてこのようなスタイルをとっているのです。
なぜかというと、やはり子どもって遊ぶことが大好きですよね。
「先生の真似をして指を動かしましょう!」
「先生が言った通りに、洋服を脱いだり着たりしてみましょう!」
などと単純な訓練を指示したとしても、それを苦手とする子どもは興味も持つどころか、単純に嫌がります。大人でも一緒ですよね。苦手なことはなるべく避けたいですし、自らわざわざやろうとはしません。
でも、遊びのような楽しそうな要素が加わったら……?
単純な訓練より、ちょっとやってみようという気持ちが生まれますよね!どんな効果的な訓練を準備しても、子どもがやらなければ本末転倒。
だから、療育には「遊び」が大切なのです。
療育遊びの3つの効果
そして「遊び」には、子どもの心身を鍛えるたくさんの要素が詰まっています。
具体的にどのような効果を得られるのか?ここでは3つご紹介していきます。
遊びから「運動機能」が発達する
発達障害の子どものなかには運動機能や感覚の発達に偏りがあり、
・手先が不器用
・姿勢を保つことが難しい
・転びやすい
・ボールを投げられない
・縄跳びができない
といった特性を持つことがありますが、そういった子どもには「指先や身体を動かす」遊びが効果的です。
身体と脳はつながっています。指先や身体を十分に動かせば、同時に脳の発達にも良い影響を与えることができるでしょう。
遊びから「社会性」が育まれる
発達障害の子どもは、そもそも人への興味関心が薄く、人間関係を築くのが苦手とされています。そのため次のような特性を抱えている子どもが多くいます。
・社会のルールを理解できない
・コミュニケーションが取れない
・やってほしいことをやらない
・人の気持ちが分からない
これらの特性に対しては、子どものペースに合わせながら「集団の遊び」を取り入れていくのが効果的。他人と関わり合いながら遊べるようになると、コミュニケーション能力も養われます。
特にルールを理解し守ることが求められるゲームは、社会のルールやマナーを守ることと置き換えて考えられるので有効です◎
遊びから「成功体験」を得ることができる
遊びは子どもの好奇心をかき立てる絶好のツールです。やったことのない遊びでも「遊びたい!」「やってみたい!」と思いが湧き上がり、実際にやってみて成功した喜びは子どもの自信につながります。
いつもやっている遊びを繰り返すだけでなく、周りの大人が新しい遊びを提案し続け、常に子どもの「成功体験」を作ってあげるといいでしょう。
発達を促す「遊びのアイデア」を種類別にご紹介!その効果とは?
ではいよいよ、具体的な「遊びのアイデア」をご紹介していきます。ここでは「室内遊び」「外遊び」「ゲーム」別にいくつかの遊びをピックアップしました。
身近にあるものを活用して楽しむ♪室内遊び
室内で遊ぶときは、わざわざおもちゃを買わなくてもOK!自宅にあるものを活用すれば十分に遊べます。ここでは「洗濯バサミ」「ペットボトル」を使った遊びが登場します。
洗濯バサミ遊び
■洗濯バサミで作る動物
→ライオンやカニ、タコなどの動物モチーフの台紙を作り、洗濯バサミをライオンのたてがみに、カニやタコの足に見立てて、台紙の周りに洗濯バサミをとめる。
■洗濯バサミアート
→洗濯バサミ同士を繋げてお花や花火を作る。(上の写真のように)
▼遊びのねらい
・手先の動作
・力加減を知る
・創造性を育む
ペットボトル遊び
■色水遊び
→水を入れたペットボトル蓋裏に絵の具を塗って、シャカシャカ振り色水を作る。
→色水を何種類か用意して、混ぜて色の変化を楽しむ。
■ウェイターごっこ
→レストランのウェイターのように、お盆にペットボトルを乗せて倒れないようにそっと歩きゴールを目指す。
■ペットボトルボーリング
→ボーリングのようにペットボトルを数本並べて、室内用の柔らかいボールを投げて倒す。
▼遊びのねらい
・キャップの開け閉めによるり、つまむ力と握る力をつける
・バランスをとる力を育む
・ボールを投げる力加減を知る
行くだけで刺激がいっぱい!外遊びは公園へ
外遊びは刺激がいっぱい!しかもわざわざ大自然があるところに行かなくてもOK。近くの公園に散歩がてら遊びにいきましょう。
■お砂場遊び
→遊び方は自由ですが、興味を持たない場合は親が遊び方を目の前で見せてあげましょう。動作が苦手な子どもには、スコップやバケツといった砂場の玩具を取り入れると◎
▼遊びのねらい
・砂の感触を楽しむ
・砂の扱いにより力加減を知る
・立つ・座るの繰り返しによる運動機能への刺激
・創造性を育む
・集中力が身に付く
■公園の遊具
→滑り台、ブランコ、平均台、シーソーなど、子どもが興味を持つ遊具でOK。公園の遊具は全身の筋肉を使う遊具がたくさんあるので、遊びながら自然と運動機能にアプローチすることができます。
お友達がいっぱいいる環境が苦手な子どもは、早朝に行くなど人が少ない時間帯をねらうといいでしょう。
▼遊びのねらい
・運動機能の向上
・バランス感覚を培う
人との関わりやルールを学ぶのに最適なゲーム
■しっぽとり
→タオルをしっぽのように垂らしお互いに取り合う。最後まで取られずにいた人が勝ち。
▼遊びのねらい
・ルールの理解
・走る・避けるといったことを通し、運動機能に刺激を与える
■すごろく
→療育でも最も取り入れられている遊び。オリジナルの内容で作成することもできるので、子どもの特性に合わせてすごろくのお題を設定するのがポイント。
例えば、
・その場でうさぎさんみたいに10回ジャンプ :運動機能へのアプローチ
・朝ごはん何食べたかみんなに教えて :記憶へのアプローチ
などなど、お題はさまざま。
▼遊びのねらい
・ルールの理解
・順番を守る
遊びを取り入れる際に大人が気をつけたい3つのポイント
療育の遊びは、普通の遊びと何が違うの?という方もいるかもしれませんが、療育の現場では次のようなポイントを押さえて、遊びの提案がされています。
療育の遊びで大切な3つポイント
①子どもの興味を引く工夫がされている
②子どもは「ただ遊んでいるだけ」の状況を作る
③大人は遊びの中にしっかり「目的」を込める
保護者の方からのご相談で「なかなか遊びに乗ってくれない・・」という相談を受けることがあるのですが、よくあるのが「さぁ、遊びましょう!」と、遊ぶ宣言をしいきなり説明に入ってしまう例。
なるべく、自然な形(子どもが興味を示したタイミング)で遊びを始めるのが理想ですので、親は子どもが興味を持つしかけ作りに専念し、子どもが興味を示すまでじっと待ちましょう。興味を示したら遊び方をゆっくり教えればいいのです。
また、子どもが遊んでいるだけでも、実は遊びにはしっかり目的が込められているというのが理想です。
遊びを通してお子さまの発達を促してみませんか?可児市の放課後等デイサービス「たんとある」にお気軽にご相談ください。
いかがだったでしょうか?ここでご紹介した遊びはごく一部!「たんとある」ではお子さまの特性に合わせたさまざまな遊びを提供しています。
もし療育の現場をまだご覧になったことのない方がいらっしゃいましたら、無料の見学会もご用意しております。ぜひお気軽にお問合せのうえ、お子さまと一緒にご参加ください♪